3月に読んだ書籍の感想

3月は久しぶりに読書の火が付いて1週間に1冊読みました。読まない月はゼロで終わってしまうので、この熱がもう少し続けばいいな。読んだ本の感想を残しておきます。

 

①この場所であなたの名前を呼んだ 加藤千恵 講談社

  NICU(新生児集中治療室)を舞台にした、
  小さな命をめぐる感涙の物語。

  著者の経験を元にした新たな代表作誕生!

  新生児仮死で生まれてきた赤子の母、
  胎児に染色体異常があると告げられた女性、看護師、臨床心理士、清掃員、医師ーー
  さまざまな視点から描かれる、NICU(新生児集中治療室)という「この場所」。
  小さな命のきらめきに、こんなにも心を動かされる。
  医療現場を舞台に著者が新境地を拓いた連作長編小説。

 

赤ちゃんは元気に生まれてくるものだ、世間の認識はそうなっているが、そんな期待と希望の中で現実にはそうではない赤ちゃんもいて、そんな赤ちゃんをサポートするNICUがある。私自身、第一子出産では赤ちゃんも一時危険な状態になり、私は合併症にかかり1か月ほどの入院した経験があって、出産は危険を伴うものだということ、そして新しい命が生まれて育っていくことは奇跡なんだと思っている。この本ではそういった現実を改めて思い出させてくれた。新しい命と時にその命の火が消えることに向き合う人たちの葛藤や幸せの瞬間を見せてくれ涙なしでは読めない。妊娠出産は女性にとってとてもリスクが大きいことがもっと認知されるようになってほしいものだ。

 

②百万ポンド紙幣ーマーク・トウェインショートセレクション

トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』などの作品で知られ「最初の真のアメリカ人作家」とも称されるマーク・トウェインの短編集。表題の「百万ポンド紙幣」ほかユーモアに満ちた色褪せることがない七編。

短編作品が収録されているので入りやすい作品。世にも不思議な物語のような不思議な世界に連れて行ってくれる。が、くどいなと感じる部分が多く、疲れている時に読むには適さなかった。時間的・気持ち的に余裕があるときに読んでください。

 

③子の無い人生 酒井順子 角川書店

30代は既婚女性と未婚女性の間に大きな壁がありました。
結婚していなければ単なる「負け犬」と思っていた酒井順子は、40代になり悟ります。
人生を左右するのは「結婚しているか、いないか」ではない、「子供がいるか、いないか」なんだと。
期せずして子の無い人生を歩む著者が、ママ社会、世間の目、自身の老後から沖縄の墓事情まで、子がいないことで生じるあれこれを真正面から斬る!

結婚しているか・していないかに壁を感じることから、子がいるか・いないかに壁を感じることは非常に共感できた。この点で自分とは異なる立場の意見としてとても参考になる本だった。参考途中からは墓問題に焦点を当てており、まだそこまでは共感できなかった。もう少し年を重ねるとわかってくる部分もあるのだろうか。

 

④ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー プレディみかこ 新潮文庫

人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。

 

私の日常では人種差別や貧困問題を強く感じることないが、イギリスに暮らすこの親子には日常。世界の縮図のようで考えさせられることが多いし、母ちゃんは色々な問題に自分の考えを持っていてすごいなと思った。そしていつもどのように感じたとか、どう対処するとか、親子間で沢山話をしているのがうらやましかった。第2巻も出版されているようなので読んでみたい。